2008年 09月 02日
エクステラ(バイク) |
歓喜の中、スイムを終えてとうとう得意のバイクパートだ。
トライアスロンでタイムを競う中で欠かせないのが、スイム、バイク、ランのパート間を繫ぐトランジション。
トランジションで慌ててしまい、忘れ物をしてしまったら致命的だし、ゆっくりしていたら前のパートで稼いだタイムを失ってしまう。
なので、迅速かつ正確にトランジションをこなす事が求められるのだ。
そのため、僕は夜な夜な玄関で、
「できるかな♪できるかなぁ♪できるかなぁ~♪・・・まずはウェットを脱いで・・・靴下をはいて・・・靴を履き・・・メットを、いや先にサングラスを・・・」
等と一人でアダルティなできるかな体操をしていて、彼女に呆れられる毎日を送っていたのだ。
果たして、その成果をあげる事は・・・できなかった。
僕がトランジションに行ったときには人影はなく、見渡す限りバイク一台すらない。
自分ではビリから2番目だとおもっていたのに、実際はビリだったらしい・・・それもブッチギリで。
この光景を見ることができたのは、スイムでビリだった僕と優勝した外人(バイクパート一位)だけだとおもう。
そう考えると、普通に考えたら赤っ恥体験なのに、なんだかスペシャルな体験をしたという誇らしげな気分でいっぱいだ。
そんな寂しいトランジションで一人ゆっくりと着替えをする。
今更、何十秒か遅れたところでなにも変わらないから。
着替えを終えて、とうとうバイクパートに突入。
テクニカルコースと言う事で非常に評価の高い丸沼バイクパートだけど、おおまかに4つのセクションで構成されていた。
①会場環湖荘周りのループコース
②湖畔のシングルトラック
③王滝風ダブルトラック登り
④シングルの急な下り。
①~④と進み、②>①と折り返す感じ。
前日、ユーさんと試走しながらコース攻略について話あった結果、
「②セクションに入ってしまったら追い越し不可能。オールアウト寸前まで①セクションで追い込み順位をあげるべし!!」という、結論に達していたのだった。
僕は、そんな会話を思い出して我ながら呆れてしまった。
「なにができるだけ順位をあげるだ!!どれだけ泳げるつもりだったんだよ・・・」
結局、追い上げポイントだった①セクションのループコースでは、誰一人として会わなかった。
ギアをかけてゴリゴリ進むも、なんだか空回りしているようで空しい。
②セクションに本格的に入る手前あたりから、やっと人影が見えてくる。
丸沼で一人ぼっちだった40分、やっと同じコースを皆で走れるのだ!!
マサミさんに一声かけてパスをして、とうとう湖畔のシングルトラックへ。
このシングルトラック、高低差はないが、微妙なアップダウンが続く細い道。
前日走った感想は、日立と房総を足して2で割ったようなコースで乗車率は7~8割くらいで思ったより乗れる感じだったが・・・本日は大渋滞。
車に乗っても大渋滞、自転車乗っても大渋滞・・・人間と渋滞は切っても切れない関係らしい。
そんな渋滞の中でも、自分の気持ち次第で諦めもつくものだ。
「寝坊した自分が悪い。泳ぎが下手な自分が悪い。」
そう、全ては因果応報なのである。
そんな渋滞の中でも結構な人が快く道を譲ってくれたので、チョコチョコと順位を上げることができた。
そうして、とうとうある人と再会する。
カナヅチーズのメンバーの葉っぱさんとデュアスロンに出場していたヒュウさんだ。
僕らは互いの生存を確認しあい、再会を喜んだ。
しかし後から聞いた話では、葉っぱさんは600メートルを休まずに完泳してしまったらしい。
そのような快挙(暴挙?)を聞いてしまった以上、彼女はカナヅチーズから除名するしかあるまい。
彼女を除名してしまうと、カナヅチーズは僕一人になってしまうわけだけれど、心配は要らない。
彼女と一緒に居たヒュウさん、彼は泳げないらしい。
まさにカナヅチーズにうってつけの人材ではないか!!
僕はこのとき、来年の丸沼で仲良く一緒に溺れているヒュウさんを想像して一人ほくそえんだが、彼はそれを知る由もない。
その後も延々と渋滞は続く。
②セクションでこうなる事は諦めていたので、黙々と自転車を押していると・・・突然前が開けた!!
先にはかなりの激坂があり、皆尻ごみして前を譲ってくれた。
うれしい半面、戸惑いの胸中だった。
その坂は前日試走した際に大ゴケしたポイントだったのだ。
一見斜度はきついが一直線の坂なので、変に怖がってブレーキをかけすぎなければクリアできそうにみえるのだけれど、実は坂の後半に岩が突き出ており、一番スピードがでているときに岩にヒット>そのままダイブという痛い目をみた坂。
「また、同じ目にあうかもしれない」
しかし、やっと乗車できるチャンスをみすみす逃すわけにはいかない!!
「ええい!!ままよ」と自転車に跨り、坂を下る。
「あぁ、あの先・・・もうちょっと先に岩が・・・痛ッ!!!」
僕は、問題の岩に突入する前に横から飛び出ていた木の枝に突っ込んだ。
右腕上腕部と前腕部の間の肘関節の内側あたりに木の枝が突き刺さり、枝の先がピョコッと飛び出ている。
それを見た瞬間引っこ抜こうとしたが、無理に引っこ抜いて途中で折れてもイヤだし、幸い痛みもないのでほっとく事にする。
それ以降、すっかりチキンハートになってしまった僕は、③セクションになるまで身をじっと潜める事にした。
そう、厚い雪の下でジッと春の到来を待つ植物のように・・・
どれくらいの時間が経ったのだろう?
どれくらいの距離を進んだのだろう?
とうとう、雪解けの季節がやってきた。
それは、春の日差しと言うには過酷な③セクションの林道登りだったわけだけれど、ここで芽を出さずにいつ芽をだすのだ!!
「1人、2人~15人・・・ええいやめた!!」
抜いた人数を数える余裕があるならそのぶん、踏む踏む!!
前から落ちてくる人をドンドンパスするが、自分で思っているほどはスピードが乗らない。
スイムで足が攣ったりしているから、その分ダメージが蓄積しているのだろうか?
しかし、これが3種目の難しいところだし、自分の実力なのだ。
たれる事なく、③セクションを終えて④セクションへ。
④セクションは下り基調のシングルトラック。
時折顔をみせる急坂は、筑波を彷彿とさせる。
③セクションで渋滞は大分解消されたようで、気持ちよく下っていける。
前日の大雨で路面状況が心配だったが、前後シラクのグリップは頼もしい。
このとき僕は、「丸沼にマッドタイヤはいらないな」と確信したのだった。
④セクションを終えて、②セクションを折り返す手前ではなこさ~んに追いついた。
僕 「やっとおいつきましたよ~」
はなこさ~ん 「がんばれよ~」
そんな会話をして道を譲ってもらい、ひたすら前を追いける。
このとき、僕はある違和感を感じていた。
僕の中で新たな生命が誕生するような違和感が・・・
そうして本格的に②セクションを折り返す時、その違和感は現実の物となったのだ。
ビクビクビクッ!!
僕の中にあたらな生命が生まれた。
名前は、左大腿四頭筋君と左ヒラメ筋君。
彼らは、今風の子供らしくこらえ性がないらしい。
押し担ぎをするために自転車を降りれば「もうヤダ~」
押し担ぎを終えて自転車に乗れば「まだのるの?イヤ~」
といった具合に、駄々をこねるかの如くビクビクと痙攣する。
その都度子供をあやす様にダマシダマシ進んだんだけれど、とうとうヒラメ筋君が限界に達し、ピキーンと攣ってしまった。
それに連動するかのように大腿四頭筋君もピキーンと攣る。
せっかく、いままで穏健に済ませていたのにこの体たらく・・・
僕はここから教育方針を一転させて、スパルタで行くことにした。
どんなに攣ろうがなんだろうが、無視してペダルを踏む。
Jシリーズのレポートとかを読んでいると、「足が攣ってもそのままペダリング」なんて書いてあるので、「そんな事できるのかよ」とおもっていたが、案外何とかなるものだ。
また一歩自転車乗りとして経験を積んだ気がする。
この後も、筋肉に鞭打ちながら自転車を漕ぎ、自転車パートを終えて、トランジションにもどってきた。
さぁ、長かったエクステラもあとはランだけだ!!
by 9_daizu_9
| 2008-09-02 12:00
| 自転車